ねぇ、覚えていてねコンラッド。


消えない痛みなんて嘘よ。
そんなもの、この世にひとつとしてないの。
だってそうでしょ?
いつだって思うより人は強くて、生きていこうとするものよ。
だから、いつか私たちも離れるときが来て、こうして触れ合っていたこともいつか忘れていくのね。
いやだ。そんなに怖い顔をしないで聞いて頂戴。
ちゃんと解るんだから。
貴方が、今どんな表情をしているかなんて。


忘れることは罪かしら?
私は、そうは思えないの。
覚えていることが痛みになるなら、忘れなければ生きていけないのなら。
人は、忘れるべきだと思うのよ。
そうね、もしかしたら貴方はそれが許せないかも知れない。
覚えていることがせめてもの餞だと、そう思うかも知れないわね。
そんなところが嫌いだと言ってるんじゃないの。
むしろ貴方らしくて・・・それが、貴方の魅力だとさえ思うのよ。


ただね、少しだけ心配もしているの。
この世界は時々酷く残酷で、いつか私の声も貴方には届かなくなるときが来るかも知れない。
そうなったときが、少し怖いの。
誰かを守る為の嘘なら、貴方は平気でつくでしょう?
そうして貴方が傷付く姿を、私は見たくないのよ。


私に、一体何が出来るかしら。
貴方の為にしてあげたいことが本当に沢山あるの。
今は、いつかのさよならが少しでも悲しいものにならないよう、祈ることしか出来ないけれど。
どうか、貴方を照らす光が幸多きものでありますように。




―――――そう、願って止まないのよ。















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